『おでかけのまえに』福音館書店 筒井頼子さく 林明子え
もう、なんでそんなことするのよ!と言ってしまう自分へ
幼児は宇宙人のようだなと感じることがあります。大人の想像を遥かに超えた、というか斜め上の上の上くらいをいく行動を始めるので、大抵は対処する前にプチ事件と化してしまいます。
飲みたいと言うからお茶を渡したのに、ペットボトルごとひっくり返す。
食べたいと言うから渡したのに、粉々にしたお菓子をばらまく。
ベビーパウダーをまき散らす。
しまったばかりのおもちゃを端から端まで引っ張り出す・・・
「もう、やめて!」と叫んだのは1度や2度ではありません。疲れているときに床中が水浸しになったり、真っ白な粉で埋め尽くされると、なんだか途方に暮れてしまいます。
どうしてこうなった・・・!!!
と思うのですが、時すでに遅し、です。

かぁちゃん、とうちゃんのあるある
お出かけの直前はまさに戦争状態。大人だけだったら、着替えてすぐに出発!といきたいところですが、好奇心真っ盛りの2歳児がいると、そういう訳にもいきません。
まさに今出かけるところ!という瞬間に家じゅうがぐっちゃぐちゃになったり、用意した荷物を全部取り出されたり、着たばかりの服がシミだらけになったり・・・
“あやこ”ちゃんは、そんな外出前のあるある行動をパーフェクトにこなしてくれるので、おかあさんもおとうさんも大変です。
でも、1つ1つの行動を起こす際に、「そうだ、○○してあげよう・・・」とおかあさんやおとうさんを気遣う気持ちが隠れているのがわかるのです。
おかあさんもおとうさんも、そんなあやこちゃんの気持ちを知ってか知らずか、決して怒ったりせず、都度優しくフォローしています。
忙しい時間帯に子どもがいたずらをはじめると、なぜそんな困った行動をするんだ」とイライラしたくなるところですが、本人は「喜ばせたい」「パパママが笑顔になってくれたらいいな」という気持ちで行動しているのかもしれません。
「どうしてそんなことするのよ!」とついつい怒ってしまう大人が、その「どうして」を本気で考えるきっかけをくれる、優しさいっぱいの絵本です。
『はじめてのおつかい』や『こんとあき』など、柔らかいタッチが魅力の林明子さんのイラストにも注目。